みんな学ぼう スパイスガイド

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スパイスとは、主に熱帯や亜熱帯に生息する種子、果実、花、つぼみ、葉、木の皮、樹液、根茎などを乾燥させたものだ。人類とは5万年前から付き合ってきたという神話もあるほど歴史は古く、日本でも大昔から生姜や山椒、麻の実、茗荷、ごま、紫蘇、蓼などが採れた。それが1880年代にカレー粉(イギリスのC&B)が伝来し、インドのスパイスが日本でも知れ渡るようになったのだ。特にここ20年ほどは誰もが気軽にいろんな国の料理を体験できるようになったと同時に、多くのスパイスがより身近になった。ぜひ、このガイドを頼りにスパイスラーニングを楽しんでいただきたい!
  • クミン

    • 世界で最も有名なスパイスのひとつ。
    • カレーをはじめ数々の料理の大黒柱。
    • 香り、味、色。あらゆる場面で大活躍。

    古代から防腐剤や整腸剤として、また腹痛や下痢にも効く薬として重宝にされてきた。中近東、メキシコ、ヨーロッパなど世界各国で使われている。粉末は入れ過ぎるとえぐくなるので他のスパイスとバランスよく使うことが多い。そのため使用の際は軽くローストするか、他のスパイスとバランスよくブレンドするのが効果的である。

  • コリアンダー

    • 生葉は“パクチー”として近年大人気。
    • 部位によって様々な多機能スパイス。
    • 日本の与那国島ではソウルスパイスとして重宝。

    生の葉(リーフ、パクチーともいう)を刻んでマトンや魚などと合わせたり、種子(シード)はドライにしてカレーに使用するのが一般的。根はスープにも。西洋や欧米、中国では若い葉のみをサラダに多用。日本では本州よりも西南端の与那国島の方が歴史が深く、今も各家庭で代々の種を自家栽培し12月~3月頃までの旬野菜として若い葉をサラダ感覚で豪快に食べている。

  • フェンネル

    フェンネル

    • 古代より薬効が期待されてきたスパイス。
    • お腹の調子を整える漢方薬としても活躍。
    • インド料理店のレジ横にあることも。

    古代は主に視力の強化剤として重宝されたり、また魔除けとして玄関に吊るす風習もあったとか。漢方では安中散の生薬として使われ、主に胸やけやげっぷ、神経性胃炎などに効果があるとされる。インドでは食後に砂糖をコーティングしたものを食べる習慣があり、日本のインド料理店のレジ横に置いていることも。西洋では生の葉や茎は魚と共に煮たり、刻んでソースにあえたりする。

  • クローブ

    • 焦げ茶色の釘のような独特な形。
    • これぞクスリと言いたくなる、強烈な匂い。
    • 香りが特徴的で、腹痛や歯痛の痛み止めとしても。

    黒い玉の漢方胃腸薬のような、ウスターソースの匂いにも似ている。今まで何人かのインド人たちが歯痛時にそのまま口に入れているのを見た。強烈な酸味と辛味があり、数分経つと痛みが和らぐ。知人の歯科医曰く「クローブの成分は鎮痛剤にもなっている」。でも虫歯そのものは治らないから切れると痛みが戻ってくる。クセの強い肉料理に最適な他、チャイやホットワインにも使用する。

  • フェヌグリーク

    • メープルやキャラメルのような甘い香り。
    • 特にベジタリアンの料理によく使う。
    • インドやネパールの女性のアイライン?

    シードはスープや煮込みはもとより、炒め物やカレーなど、あらゆる料理に多用されている。特に多彩なベジタリアンの間では生(メッチ)のリーフをはじめ、ドライのカスリメティなども巧みに使い分ける。インドやネパールの女性はこの成分を抽出したアイラインをよく使うとか。目の健康のためと言うが、男性を元気にする作用があるという説も。

  • グリーンカルダモン

    • 本格的なカレーでよく見かける高級品。
    • 身体を冷ます、夏向きのスパイス。
    • 強烈な清涼感で気分を一新できる。

    1センチほどの長方卵形で緑色をしたスパイス。硬い皮の中に黒褐色の種子が20粒ほど入っている。これを噛むと目が覚めるような爽やかな風味が弾ける。皮も食べることができるが食べなくてもOK。インドでは各種料理はもとよりラッシーやクルフィ(アイスクリーム)、その他のスイーツには不可欠。ホールは半年ほどで色、香り共に落ちてくるので密閉して暗所保存をするのが◎。

  • レッドペパー

    • 日本では一味、唐辛子と呼ぶスパイス。
    • 順応力が高いため、世界各国に分布している。
    • 自家栽培スパイスの第一歩として最適。

    アジアの辛いスパイスといえば元来は胡椒だったが、16世紀頃にこれが伝来してから主役の座を譲ることに。これは胡椒と比べ気候や風土に順応する力が強く、栽培も容易なためだったからではないかと言われている。日本でもプランタで簡単に栽培できる。ペパー類は世界に90種類以上存在し、総称してカプシカムペパーと言う。

  • カレーリーフ

    • 南インドの代表的なリーフスパイス。
    • シンプルですっきりとした料理でこそ。
    • 所を問わずベジタリアンにも愛用される。

    インドではカレーパッタ、スリランカではカラピンチャと呼ばれる。ルッコラのような香ばしさがあるのだが、とても繊細なため風味の特長を掴みづらい。さっぱりとしたシンプルな料理でこそ、その価値が発揮される。生ほど香りは高くないが、冷凍やドライが日本の輸入食料品店やアジア系スパイスショップなどで手に入る。近年は日本でも栽培されるようになってきた。

  • シナモン

    • 京の八ツ橋やニッキ飴のような香り。
    • 綺麗なのはセイロン、ゴツゴツはカシア。
    • 特に肉のカレーには欠かせない名脇役。

    カプチーノに使う綺麗な筒状のものはセイロンシナモンで、インドや中国で使うゴツゴツとしたものはトンキン(シナ)ニッケイというものでカシアと呼ばれる。実際にはひとからげにシナモンとして流通している。前者は香り付け、後者は肉類などの煮物に向いていると言われる。チャイなどに入れて飲むとリラックス効果が期待できる。お菓子にも多用され、日本人には馴染み深いスパイス。

  • ターメリック

    • これぞインド系スパイスの王様。
    • 薬効としては防腐剤、傷薬の感覚。
    • ベトナムではハレの日のライスに使用。

    インドはもとより周辺諸国でも多用されるスパイスのひとつ。ベトナムではめでたい時にこれで黄色いご飯を炊く風習がある。産地や時期にもよるが渋みや苦味が強いものもあるため、煎ってから使うとバランスがよくなる。薬効面では防腐剤としたり、切り傷や火傷などの外用薬として使われている。生の根茎をそのまま土に埋めると2週間ほどで発芽する。

案内人:カワムラケンジさん(スパイス料理研究家)

様々な飲食の現場を経て、1994年頃からライター活動を開始。その後三重県松阪市にインド食堂・THALIを開業。2010年に日本初のスパイスカルチャーブック『スパイスジャーナル』を創刊。著書に『絶対おいしいスパイスレシピ』(発売中/1,512円 税込/木楽舎 刊)

http://osaka-spice.net

参考文献:
「スパイスの話」斎藤 浩 著(柴田書店)
「南国の野菜たち」青澤 直子 著(ウィズモバイル)
「東南アジアの野菜、ハーブ、スパイスとマッシュルーム」田中 良高 編著(農業開発教育基金)